近年訪問看護の需要が伸びています。介護保険によって訪問看護を受ける高齢者だけでなく、病院での治療が主流のがんの末期や難病患者などが医療保険を利用して訪問看護を受けるケースも増えました。夜間でも対応してくれるオンコールがあることも需要が伸びている理由の1つでしょう。また、首都圏や大阪、愛知などの大都市で高齢者人口の増加も予想されていることなどから、ますます訪問看護の需要が高まっています。
こうした中、国は様々な策を講じて訪問看護の体制を整えようとしています。2012年の診療報酬の改定によって訪問看護への評価が手厚くなり、一般企業による訪問看護事業への参入が拡大しました。厚生労働省の「平成30年(2018年)介護サービス施設・事業所調査」によると、訪問看護ステーションを開設している主体としてもっとも多いのが企業などの営利団体で51.5%を占めています。診療報酬や介護報酬の改定で手厚くなった報酬が2018年春にはさらにダブル改訂され、訪問介護にかかわる報酬がアップし各種加算の算定もしやすくなりました。この改定によって国は病院による訪問看護への参画を促すため、病院に併設する訪問看護ステーションへの評価も充実させています。2018年の医療法人による訪問看護ステーションの開設は26.3%にとどまっていますが、一方で入院医療に対する国の評価は厳しくなっているため今後、訪問看護に関心を示す病院経営者が増えると予想されます。
日本看護協会などがまとめた訪問看護アクションプラン2025では、訪問看護の量的拡大、機能拡大、質の向上、地域包括ケアへの対応といった指針が示されました。しかしこの目標を達成するためには看護師は大幅に不足しており、今後も訪問看護に携わる看護師の需要が見込まれています。